専門家インタビュー

【前編】「腰痛・肩こりの原因は患部だけじゃない」日本代表選手のパーソナルトレーナーが語る”身体の秘密”

1日平均6322歩。

これが何の数字かわかるでしょうか?

日本人の1日平均歩数です。(厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査報告」)

約6322歩、日本人は1日に歩いているということはその歩数分だけ、足に負担がかかっているということです。

しかし、その「足」に対するケアを皆さんはできているでしょうか?

そんな「足の重要性」や「足の悩みを抱える人に有効なケア方法」をサッカー日本代表選手やJリーガーのパーソナルトレーナーを勤める樋口敦トレーナーに語っていただきました。

【PROFILE】

樋口敦(ひぐち・あつし)


サッカー日本代表選手・Jリーグ選手の体の使い方を指導するパーソナルトレーナー。理学療法士・アスレティックトレーナーの資格を持ち、Jリーグのファジアーノ岡山のトレーナーとしての活動実績も。現在はパーソナルトレーナーとして活動するかたわら、広島県を拠点とするスポーツコミュニティクラブ、福山SCCの理事を勤め、著書「10代のための新しいトレーニング ヒグトレ 背中を柔らかく鍛えるとサッカーはうまくなる」も執筆。

怪我を治してあげることができなかった

ーー理学療法士・アスレティックトレーナーになられた理由・経緯を教えてください。

樋口:高校生の時にJリーグのクラブで「トレーナー」として働こうと決めました。そして、トレーナーになるためには「*理学療法士」と「*アスレティックトレーナー」という2つの資格が必要だと思ったので、その資格を取るために平日は朝から晩まで病院でスポーツ選手のリハビリを、土日は朝から晩までセミナー・勉強会に参加してトレーナーとしての知識をひたすら身につけるというルーティーンワークをし続けました。 *理学療法士:「立つ・歩く・走る」といった身体の基本的な機能回復をサポートする動作のリハビリテーション専門家。国家資格。
*アスレティックトレーナー:スポーツ現場で選手が受傷したときの応急処置や傷害の評価、復帰までの手順、傷害予防のために働くスタッフ。

ーーその結果Jリーグクラブのトレーナーになることができたんでしょうか?

樋口:はい。27歳の時に現在J2リーグで戦っているファジアーノ岡山というチームがトレーナーを募集していたので、応募したところトレーナーとして採用してもらい、Jリーグのクラブのトレーナーになるという夢を叶えることができました。ですが、岡山に*グロインペインという怪我を抱えていた選手がいたのですが、怪我の痛みをなかなかとってあげることができず、その選手を契約満了にさせてしまったんです。その時に自分にはまだまだ実力が足りないと思ったので、岡山を辞め、もう一度勉強し直してパーソナルトレーナーとして独立しました。

アスリートに多い怪我 グロインペインとは?

ーーグロインペインはアスリートに多い怪我なのでしょうか?

樋口:サッカー選手に多い怪我として挙げられるのが「肉離れ」「疲労骨折」「捻挫」などがあります。サッカー選手の障害的な特徴の一つにグロインペイン症候群があります。は難治性慢性疾患で完治しづらい怪我です。1チーム(22~25人程)に3~4人の割合でグロインペインを患っている選手がいるほどです。

ーーグロインペインとはどのような怪我なのでしょうか?

樋口:股関節の筋肉の腱がついているところに炎症が出て痛みが出る怪我です。

樋口:完治するまでには大体2~3ヶ月。怪我の状態がひどいと完治するまでに半年はかかる非常に治りずらい怪我です。クシャミをするだけでも痛むという人もいます。

怪我の原因は患部だけじゃない

ーー原因はなんでしょうか?

樋口:グロインペインの原因は患部の股関節だけでなく、全身の様々な所に問題が生じ、それらが複雑に絡み合っていることも挙げられます。例えば、足首の可動域性が低い、足の骨のバランスが悪い、上半身の脊椎の可動性が固い、肩甲骨が動きづらいなどです。そういった全身の関節や可動域の連動性の低下が原因で上半身と下半身をつなぐ役割を担っている股関節に負荷がかかりグロインペインになってしまうのです。

ーー痛みの出ている患部だけでなく、その患部に通ずる様々な原因によって怪我になるリスクが高まるということですね。

樋口:はい。身体は全部繋がっているので。なので、グロインペインの股関節の痛みに限らず、一般の方の腰痛や肩こりといった症状も腰や肩の悪化だけが原因ではありません。姿勢や身体の使い方といったあらゆる部位が腰や肩に影響を及ぼして、腰痛や肩こりの原因になっている場合の方が多いのです。そして、その身体が全部繋がって運動していることを運動連鎖といいます。

ーー運動連鎖。

樋口:運動連鎖とは関節の運動が他の隣り合う関節に影響を与えることです。この運動連鎖がどれだけスムーズにできているかによって、アスリートにとっては怪我の予防・パフォーマンスUPに、一般の方にとっては全身のあらゆる体の痛みの改善に繋がります。、例えば、サッカーでいうとシュートを打つ時。身体の運動は足を振り上げて股関節→膝関節→足関節という順番に曲がって運動し力を伝えていくことで最後はボールに強い力を伝えることができ、強いシュートを打てます。

そして、その運動連鎖において重要になる体の部位はいくつかありますが、その一つはどこだかわかりますか?



専門家インタビューの一覧

パーソナルトレーナー(サッカー日本代表&J1選手)

パーソナルトレーナー(サッカー日本代表&J1選手)

鍼灸接骨院IWAMOTO院長