アスリートインタビュー

【後編】「100%の力を狙って出せる。」世界選手権で冒した一つのミスから学んだこと

「コツコツと力をつけるのが一番の近道なんです。」


(2019年全日本選手権優勝時)

ーーTRへの臨み方以外に実際に競技のプレーの観点で改善したことはありますか?

中井:僕の課題として「スタートダッシュ」がありました。スタートダッシュは一瞬の速さを生み出すためのパワーが必要なため、他選手に体格で劣る僕は自分の持ってる100の力を出せるようにする必要がありました。そのために、ピーキングという方法でパフォーマンスUPとコンディションの調整をするようにしました。

ーーピーキングとはどのような調整の仕方なのでしょうか?

中井:ピーキングとは自分の能力を高めつつも、大会の時に自分のコンディションをMAXの状態に持っていく調整法です。自分を高めるために強度の高いTRばかりしていては疲労ばかり溜まっていきますし、かと言って大会のことばかり気にしすぎて強度の低いTRばかりしてもコンディションは落ちるだけなので、TRで自分を高めながらも大会当日に100%の力を出せるようにするためのプランをコーチと相談して立てました。ここでは強度を落として、ここでは大会から逆算して何日あるから負荷を上げてという風にです。

ーーピーキングをして実際にどうでしたか?

中井:大会に向けてピーキングをしたことによってそれからは自分の100%の力を大会で狙って出せるようになりました。実際に、普通なんの取り組みもせずスタートすれば、出遅れてしまうような選手と対戦しても前に出られるようになったんです。

ーー世界で勝つためにはそのように細かく日々のTRの負荷をコントロールし、体のコンディショニングをする必要があるということですね。

中井:根本的な力はすぐにはつきません。即効性のあるTRというのはその場限りの改善でしかなく、本当に自分の力がついているかと言われればついてないと僕は思います。そのようなTRで力がつくのであれば、みんなそのTRをします。けど、そんな魔法みたいなTRはないので、目標から逆算して1~2年と長い目で見て、コツコツと力をつけるのが一番の近道なんです。そういう意味では僕の最終ゴールは東京オリンピックなので、いまはそこへピーキングをしてる状態で、そのために各大会ごとにもピーキングをしてという段階なんです。

移動から試合は始まっている


(移動時の中井選手愛用のケアグッズ)

ーーピーキングでコンディションを調整しているとおっしゃってましたが、TR以外でコンディションを調整していることはありますか

中井:TR以外でのコンディショニングでいうと、海外での試合や遠征が多いので、移動にはかなり気を付けています。特に飛行機の中での過ごし方ですね。

ーー飛行機での過ごし方とコンディショニングはどのような関係があるのでしょうか?

中井:飛行機の中で長時間同じ態勢で座っていると体が固まって血液の循環が悪くなっちゃうんで、到着後に普段感じないような疲労感を感じるんです。また、その日の夜の寝つきも悪くなり時差調整ができないこともあります。

ーー時差調整にも影響が出てくるんですね。

中井:はい。普段感じない疲労を感じ、寝付けないとコンディションが崩れ、次の日のTRに影響が出て、いいTRを積むことができなくなる。加えて、その疲労は1日では取れず、ちょっとずつ取れていくので、何日間か影響が出る。それは結果的に大会のパフォーマンスにも影響が出てくる。移動から試合は始まっていると僕は思っています。

ーー「移動から試合は始まっている。」ですか。それは飛行機だけでなく、長時間のバス移動の選手にも言えることですよね。では移動中、具体的にはどのようなことをされていますか?

中井:体が固まらないように飛行機の後ろのスペースで最低1回、長距離であれば2回は時間をかけてストレッチをします。またその際にハイパーアイスという振動するフォームローラーを使って、固まった筋肉をほぐしています。あとは座っている間も身体のケアをしたいと思い、お尻の下に座っていても腰に負担がかからないマットを敷いて座っています。

ーーそれらをするのとしないとでは疲労感は違いますか?

中井:全く違いますね。移動中、ストレッチをしなかったことがあったんですけど、その日の夜はなんだか身体が重い感じがして、その後の数日間のTRはいいTRが積めませんでした。

移動の時に絶対に履いているインソール

ーー移動から身体のコンディショニングを入念にされているのですね。現在、TENTIAL ZEROという日常用インソールを履いていただいてますが、移動の際にTENTIAL ZEROを履くことによって効果はありますか?

中井:移動も飛行機だけでなく、空港に行くまで、空港内、空港から現地までというように歩くことが結構多いんです。今まではデザインがカッコいいスニーカーばかりを履いて移動してましたけど、そういったシューズってデザイン重視で足へのケアの部分が全くできていないシューズが多いため、現地についた後、歩き疲れでふくらはぎが張っていることが多かったんです。けど、【TENTIAL ZERO】を履いて移動するようになってからはその疲れも張りも全く感じないようになりました。なので、今は移動の時は絶対に履いています。

ーーTENTIAL ZEROを履いたことによって、足に対する意識は変わりましたか?

中井:変わりましたね。それまでは歩くことに関して、全然気を遣ってなかったんですけど、実際にTENTIAL ZEROを履いて歩いて効果を感じたことによって、歩き方も気にするようになりました。

ーー歩き方をどのように気にするようになったのでしょうか?

中井:僕、歩くときガニ股気味だったんですけど、今ではハッと気づいた時には足をなるべくまっすぐにして歩くように意識してます。そのように、疲労を軽減してくれるという体の外側から効果を与えてくれるだけでなく、今自分の体はどう動いているか・どうなっているかという体の内側から気づきを与えてくれるのも【TENTIAL ZERO】の良さだと思います。

ーー競技中のパフォーマンスにはどのような効果が感じられるようになりましたか?

中井:立方骨が突き上げられて普段から指を使えている感覚がすごくあるので、競技中でも指を使えるようになったと思います。BMXって傾斜やカーブの多いコースを自転車で走る競技なので、ジャンプやコーナーを曲がることが多いんですけど、特にそのジャンプ時&着地、コーナーを曲がる際に指で踏ん張れるようになったというのは感じますね。ペダルをしっかり捉えられていると言いますか。


現役中にスポーツビジネスを学ぶことで

ーー最後にこれまでのBMX一筋の人生を通して感じたBMXの課題を教えてください。

中井:課題は山積みだと思っています。ですが特に改善しなければいけないなと思っているのが、BMXレースの国内大会が少ないことです。来年には東京オリンピックが開催されてよりBMXが注目されると思うので、その注目度を落とさないためにも国内でもっと大会を開催していく必要があるなと思っています。

ーーそんなに国内大会は少ないんですか?

中井:僕は今年まだ国内大会は1回しか参加できなくて、このあとももう1つの大会に参加する予定だけなので、年2回しか国内で戦わないことになります。ですけど、色々な人から「見にいきたい!」って、声を頂くのでそういう人たちのためにももっと国内大会を増やしたいですね。

ーーどうやって増やしていきたいと考えていますか?

中井:実際に僕が開催するとかは難しいので、開催を考えている団体や組織と協力しながら増やしていけたらいいなと考えています。

ーー実際に何かアクションを起こされていることはありますか?

中井:大会開催に関しては特にまだ動けていないですが、動いた時に実行に移せるようにするために、僕は今、日本体育大学のスポーツマネジメント学部に所属してスポーツビジネスを学んでいます。

ーー選手として活動しながら大学にも通われているんですね。

中井:日本にいるときは通っていますが、遠征や大会で海外にいるときはレポートなどで学んでいます。今は大会前なんですけど、合間を見つけてレポート課題をやっています。

ーー主にどんなことを学んでいるのでしょうか?

中井:主にマーケティングやマネジメントのことを学んでいます。現役選手として活動しながら大学に通うことで現場の課題を感じながら学ぶことができているため、これはBMXの発展に繋げられるな、これはBMXじゃなくてこういうところに活かせられるなと自分の中で整理ができています。そして、この学んだものを今後どうBMX界の発展に繋げられるかと色々と考えられることが今はとても楽しいです。

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