アスリートインタビュー

「この相手に勝てなかったら、」プロバスケ選手が語るプレッシャーの正体とは。

昨シーズンB1残留を決めた「横浜ビー・コルセアーズ」が目指すのは、bjリーグ時代(2012~13)以来の優勝。その柱となるのが、3年目の田渡凌選手(26歳)だ。

3歳からバスケットボールを始め、高校卒業後に渡米も経験した“逆輸入プレーヤー”の田渡選手は「横浜を勝たせるためにチームに来た」と話す。

そんな田渡選手にこれまでのバスケ人生を振り返りながら、アスリートとしてのこだわりや今後の目標などについて語っていただいた。

【PROFILE】

田渡凌(たわたり・りょう)


B1リーグ横浜ビー・コルセアーズ所属のプロバスケットボール選手。ポジションはポイントガード。1993年6月29日生まれ、東京都出身。高校卒業後はNCAA2部のドミニカン大学カリフォルニア校でプレーし、日本人ながら主将も務める。また、ユニバーシアード日本代表にも選出。大学卒業後の2017年に横浜ビー・コルセアーズに入団し、1年目からレギュラーとして出場し、今年で3シーズン目を迎える。


小さい頃の自分は「自然とNBA選手になれると思っていた」

ーーバスケットボールを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

田渡:父がバスケットボールの監督(田渡優監督/東洋大学京北中学・高等学校)で、母もバスケ経験者。兄2人もプレーしていて、バスケットボール一家でした。自分自身も小さい頃から付き添いで体育館に行っていて、いつ始めたかもはっきり覚えてないくらいです。おそらく3歳くらいのころからずっとチームに入ってやっていました。

ーーその時から将来はバスケットボール選手になると意識はしていたのですか?

田渡:周りのみんなよりも始めるのが早かったから、小学1年生になると相手が高学年とかで。同い年の子どもとプレーしたらもう負けるはずがなくて。だからその時は「俺はNBA選手になるんだろうな」って自然に思ってました、本当に。「俺、めちゃくちゃ上手いじゃん」って思ってたので、自然と意識してましたね。

「このままではいけない」という思いが、自分を強くする。

ーーその後、お父様が監督を務める中学・高校のバスケットボールに進学したんですね。

田渡:高校1年の終わりくらいに、1つ上の世代のU18代表に選ばれました。

ーーエリート街道まっしぐら。挫折経験などはなかったのですか?

田渡:その日本代表メンバーとして海外遠征に行ったときに、一切試合に出られなかったんです。「俺のほうがうまいだろう」って思っていたんですけど…今まで試合に出られなかった経験ってなかったので、すごく悔しかった。でも、挫折というよりは「負けてられない」という気持ちが湧いてきて、一生懸命練習してそこからスタメンになりました。

ーー悔しさもバネに変えたんですね。

田渡:その時から「このままではヤバイ」とか「もっと練習しなきゃ」と思わせてくれる環境に行けば自分は伸びていけると思うようになったので、高校卒業後はアメリカに留学しました。そこでも大変でしたけどね。

ーー留学を実行に移すのはすごい!アメリカではどんなことが大変だったんですか。

田渡:そこでもやはり周りにうまい選手がたくさんいて、自分は日本人で現地のコーチからすぐには実力を信用してもらえなかった。信頼を得る過程は大変でしたけど、そんな経験があったからこそ今の自分があると思います。

プレッシャーは、他人ではなく自分にかけるもの

ーー帰国後はBリーグの選手としてプロ生活をスタートさせました。より結果を求められる日々だと思いますが、プレッシャーを感じることはありますか?

田渡:プレッシャーというのは周りからではなく、自分が自分にかけるものだと思っているんです。この試合で勝てなかったら、この相手に勝てなかったら、この相手のポイントガードより自分が勝らなかったら自分の夢には届かない、と試合前にいつも言い聞かせているんですが、だからこそ「緊張するけど楽しい」という心構えで試合に臨めているし、その分準備をしなきゃいけないと思える。しっかり準備で自信を作って試合に挑むというのが自分のスタイルです。だから、その分できないならもっと練習しろって意味だと思ってやっています。

ーープレッシャーという意味では、プロに入って特に印象に残った場面はありますか?

田渡:昨シーズンのレバンガ北海道との入れ替え戦は本当に緊張というか、プレッシャーというか。

ーーB1残留をかけた戦いでしたものね。

田渡:試合が終わった時に立てなくなるような感覚は初めてでした。

ーーお金をもらってプレーするプロの生活は、「楽しい」ですか。それとも「仕事」という感覚のほうが大きいですか?

田渡:僕は楽しいですよ。だって自分の好きなことやってお金もらっているので、こんな贅沢なことなくないですか?バスケして筋トレしたら体つきもよくなるし、いい体の人ってモテるじゃないですか(笑)もちろん結果を残さないといけないですけど、恵まれた仕事だと思っています。

ーー求められることも多いですが、それも含めて楽しいということですね。

田渡:例えば、ありがたいなと思うのはファンのみなさんの応援です。どこに行っても「頑張って」とか「いい試合だったね」と声をかけてくれる。負けたときは本当に申し訳ないと思いますけど、すごく元気をもらえます。本当にそれはプロの特権というか、醍醐味だなと思います。ファンの力は本当に大きいです。

「100%の自分でいることが、それ以上の自分につながる」

ーープロの選手として活躍するために、日々のトレーニングにもこだわりがあると思います。

田渡:毎日100%の力を出せるように、試合以外でも全力を尽くすというのが自分のこだわりです。例えば睡眠時間もそうだし、食生活もそうだし、ケアをするとか交代浴とか体に気をつかうようになったのは大きいです。

ーー「試合以外でも全力を尽くす」。印象に残る言葉です。

田渡:常に100パーセントの状態でいないと、体のどこかに痛みや疲れがあるとスクワットもちゃんとできないですよね。体の状態を万全にしてトレーニングも自分のMAXでやっていかないとバスケットボールも上手くならないと思っています。

ーー技術面ではどんなことに取り組んでいるのでしょうか。

田渡:シュート力は一番大事だと思っています。1年1年新しい技術を身につけないとステップアップできないですから。下から若い選手も出てくるので、この世界で生き残るためにも自分が上の世界に行くためにも、何か1つでも2つでも新しい技を取り入れようとしています。

ーー例えばどんな技ですか?

田渡:去年はキャッチ&シュートの3ポイントシュートが上達できたので、今年はドリブルからの3ポイントシュートを打つ練習に力を入れています。そのためにも体のバランスが必要で、体幹に取り組んでいるし、シュートをより飛ばすためにも筋トレが必要ですね。あとはヴィジョントレーニングという視野を広げる練習もしています。

睡眠・食事・入浴にヨガ。体のためなら何でも取り入れる!

ーープレーの成長のためには万全な体のコンディションが大事だというお話がありました。もう少し詳しく聞かせてもらえますか?

田渡:睡眠時間は必ず9時間取っています。それから毎日の交代浴。週に1~2回のヨガ。

ーー交代浴って、お湯と水への入浴を繰り返すというものですよね。家で実践というのは難しくないですか?

田渡:銭湯に行っています!特にシーズン中は毎日のルーティンにしています。食事にも気をつかっていて、サッカーの長友佑都選手の専属シェフの加藤超也さんに食べるべきものや食べる順番を教えてもらいました。もともと野菜が全然ダメで、もやしくらいしか食べられなかったんですけど(笑)、今はできるだけ食べるようにしています。油もオリーブオイルを使ったり、小麦や乳製品を控えてダイエットしています。

ーー睡眠と食事、すごく大事ですね。オフの日はどんな風に過ごしているのですか?

田渡:映画や劇、サーカスを観に行ったりするのが好きですね。いつもはお客さんが試合を見に来てくれるという立場だけれど、自分が逆にお客さんの立場になると、演じている人たちってすごいなって。それで自分も頑張らなきゃって思えるんです。

ーーオフの日の楽しみも、自分の成長へとつながっているんですね。

オシャレと機能性の両立が可能!のインソール

ーーパフォーマンスのためには、試合以外でいかに体に気をつかうかが重要だという田渡選手に、日常用のインソール「TENTIAL ZERO」を履いていただきました。効果は感じられましたか?

田渡:まだ履いて日は浅いんですが、歩いていても疲れにくくなったかなと思います。

ーー普段は歩いていて疲れることもあったんですね。

田渡:ローファーやドレスシューズを履くことが多いんですけど、スニーカーより靴底が薄いので疲れてしまうんです。足の裏が痛くなったりするけど、履きたいから履いちゃう。それを【TENTIAL ZERO】は助けてくれます。疲れが溜まらないですね。オシャレと機能性の両立です!

ーーどんな人にTENTIAL ZEROを勧めたいですか?

田渡:学生や社会人など、革靴を履く人ですね。自分たちはアスリートなのでそんなに通勤もなく歩き回ることも少ないですが、高校生だとローファーを履いて通学がありますよね。社会人も通勤で歩いたり階段を使ったりが多いと思うので、そういう人たちにぜひおすすめしたいです。


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プロだからこそできる普及活動を。田渡選手の思いとは?

ーー田渡選手は、今後の取り組みたいことがあるそうですね。

田渡:アメリカに行ったときに、障害者やお年寄り、低所得者層などへの「地域貢献活動」を目の当たりにしました。例えば、NBAの選手が貧しい家族を試合に招待するなどです。そういうのはBリーグ含めて日本にはあまりないと思うし、横浜に来てからの3年間でも見たことがない。だから「観たことのない人に観戦の場を提供する」という活動に、今年の秋から取り組んでいく予定です。そういうのが当たり前の世の中になってほしいと思っています。

ーーそういう活動の輪が広がれば、バスケットボールのファンも増えそうですよね。

田渡:バスケットボールに限らず、「プロの選手がやる」ということに意味があると思うんです。プロの選手が公園でごみ拾いしているのと、一般の方がごみ拾いするのは、どちらも大事で行動そのものは同じです。でも周りから見たら「あ、プロの選手がごみ拾いしてるから私もやってみよう」という影響も少なからず与えられると思う。プロだからこそ、応援してくれる人がいるからこそ、見てくれる人がいるからこそ、人が気付くべき活動をしていきたいと考えています。

ーー最後に、選手としての今後の目標を教えてください。

田渡:横浜に来て今年で3年目ですが、「横浜を勝たせたい」という理由で来たのに、全然達成できていない。まずはこのチームでしっかり活躍して、チームで結果を出すことを一番に頑張りたいです。

あとは日本代表に選ばれること、海外のリーグに挑戦することも夢なので、毎日1歩1歩練習を積み重ねたいとも思います。


(取材・文=久下真以子)

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